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緩和ケア病棟とホスピス
●ドクター・ミルドレッド・シールハウス(ケルン)(Dr.Mildred Scheel Haus)
所長/インゲボルク・ヨーネル・ディーレマン医師
施設/2階建て、1階は15床全個室、2階はがん研究センターとして100人収容の講堂、セミナールーム2、研究室のほか、外来患者診察室、処置室、在宅ケアチームのオフィスがある。
1.沿革
国立ケルン大学付属病院の構内に外科病棟の付属施設として設けられたドイツで最初の緩和ケア病棟である。1983年、現在所長を務めるディーレマン医師が、外科部長のピッヘルマイヤー教授を説得して18階建ての付属病院外科病棟10階に4病室5床の緩和ケア病床をつくり、悪性腫瘍の術後の患者さんを入れたのが発端となった。
その後、1992年5月に、ドクター・ミルドレッド・シールの名を冠した独立建物を構内に建てるに至ったのは、元西ドイツ大統領の夫人で、ドイツがん援助協会を創立し会長を務めたドクター・シールが、この病院でがんのために亡くなられたことに由来する。その莫大な道産をもとにドイツがん援助協会の資金援助と併せ、ドイツの緩和ケアのモデルにするという目的をもって設立されたものである。設立後、がん援助協会の支援は打ち切られ、施設は州に寄贈され、州の経営に委ねられ、ケルン大学の一施設として運営されている。
2.運営
この病棟に入所するのは主として外科病棟で手術を終えた予後不良の患者である。医師、ナース、その他の医療従事者などチームによる全人的なケアを主体に、モルヒネその他を用いた症状緩和を行っている。ここは在宅ケアに移行するまでの一定期間を過ごすところで、症状コントロールで病状が安定すれば退院して自宅に戻り、訪問着議を受けることになる。また、通院が可能な場合には、2階の診療室や処置室で症状コントロールや栄養補給などを行う。また、通院が不可能な場合には、必要とあればもう一度入院して症状コントロールを施されることもあり、また在宅のニーズが満たされない場合には関連する独立型の2つのホスピスに紹介されることもある。しかし、死が間近に迫っているような場合には強いて移動することはせず、ここで死を迎えることもあるという。平均在院日数は25日前後、6回入退院をくり返した患者もいた。
ドイツは日本と同様国民皆保険であり、保険は緩和ケアにも適用されるので個人的な支払いはない。
3.療養の環境
1階には個室が13室、ダブルルーム2室の合わせて15室

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病室はすべて中庭に向かって開かれている。

 

 

 

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